くらし情報『【『大奥』感想7話】仲里依紗、山本耕史、倉科カナ 重厚な演技が紡ぎ出す人生の幸福への問い』

【『大奥』感想7話】仲里依紗、山本耕史、倉科カナ 重厚な演技が紡ぎ出す人生の幸福への問い

それでも、綱吉は幸福だったと思いたい。

老いて病に苦しみ、朦朧とするその時に、愛した男が迎えにくる夢が見られるならば、その人生は幸福だったと思いたい。

そして「佐が迎えに来たと思った(原作にはないドラマのオリジナルの表現)」と苦しい息で語る綱吉に、最後に最も純粋で残酷な愛情を捧げたのは柳沢吉保だった。

泣きながら綱吉を死なせようとする倉科カナの長い独白は、まさに圧巻の一言である。

その瞬間に彼女の心によぎったのは、ただ一夜の愛で綱吉の心を奪っていった男への嫉妬だったのか、報われぬ哀しみであったか、それとも今死なせればこの人は幸せに逝くだろうという慈愛であったか。いずれにせよ、やはり人の心はそう簡単に切り分けられなどしないだろう。

原作では、窒息しこときれる瞬間に綱吉の脳裏に浮かぶのは右衛門佐である。

きっと右衛門佐は、綱吉のもとに迎えに来たと思う。


【『大奥』感想7話】仲里依紗、山本耕史、倉科カナ 重厚な演技が紡ぎ出す人生の幸福への問い

※写真はイメージ

人として望まれたことを何一つ成せなかったと嘆いた綱吉は、しかし自分でも気づかぬ間に次世代への種をまいた。

本来なら自身の領地を持つはずのなかった風変わりで賢い少女に領地を与え、マネジメントの機会を持たせ、為政者として最初のレールに乗せたのである。

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