「登山ブームで命を守る」国際山岳医・大城和恵さんの闘い
治療のためにも、自分の体で試したかった。山頂に立ったときは、とにかくうれしくて。山岳医として、エベレストに登っていないという物足りなさもようやく解消されました。それにエベレストというのは、ちょっとミスをすれば死が待っているんです。生きていることのありがたさを心底感じましたね」
1年の3分の1は山に入っているという大城さんは、いつだってエネルギッシュだ。
「遭難情報があると、その原因を確かめるために山に行くこともあります」
’09年夏に北海道大雪系トムラウシ山で8人の登山者が低体温症で死亡したときも、どのような状況だったかを検証しに現場に行った。
「山にいると、どこまでが仕事で、プライベートなのか自分でもわからないんですけどね」
自ら危険な山で研さんを積み、今まで誰もできなかった医療を実現する大城さんは“山の主治医”として今日も命を救い続ける。