思っていた以上でした。雨の降りしきるなか、駆けつけてくれたお客さんたちと時間を共有できたことが純粋にうれしかったですね。ひさびさに地元の因島でゆっくり過ごすこともできました」
故郷への思いを語る2人だが、特に新藤は、地元にいた高校時代、今とは少し違う気持ちを抱えていたようだ。
新藤「田舎の高校生が考えそうなつまらないことですけど、東京がキラキラと輝いて見えて、自分の住む場所が灰色に見えたんです。本当にショボかったんですよ、島にいたころの自分は。だからこそ、そこから離れたくて、東京に出たかった。でも、こうして25年たって、島に帰るとホッとしてしまう自分がいるし、ジレンマですね。ロックに生きたかったのにそういうわけにもいかず……」
いっぽう、新藤に誘われてプロミュージシャンの道を志した岡野は、「学生時代、いまのような人生は想像もしていなかった」のだという。
岡野「島にはすべてある、イケてると思っていた。まさに、“井の中の蛙大海を知らず”で(笑)。でも、いまとなっては、世間を知らなかったからこそ、怖さも知らずに思い切ったこともできたのかなあ、と」
20年間、活動を続けてこられた理由も、そんな怖いもの知らずの性格にあるとも。