参院選後まで非公表「2019年財政検証」に記載される最悪未来
ところが、その公表が遅れているという。過去2回の財政検証は、内容を議論する専門委員会の最終会合から3カ月ほどで公表された。今年は3月7日に最終会合が行われたので、6月中旬までには公表されると見込まれていた。だが、いまだ公表の予定はない。
財政検証を担当する厚労省年金局数理課は、「検証中で、まだ発表時期ではないとしか申し上げられない」と繰り返すのみで、作業の進捗状況すら答えなかった。
政治ジャーナリストの角谷浩一さんは、こう分析する。
「永田町では『老後2,000万円問題で紛糾するなか、よほど悪い検証結果なので、夏の参院選が終わるまで出さないのではないか』といわれています。厚労省が安倍内閣に“忖度”している、あるいは官邸から公表しないように指示された、そんなふうに見られているのです」
“よほど悪い検証結果”とはどんなものだろうか。
そのヒントとなるのが、過去の検証結果だ。
前回の財政検証での所得代替率は62.7%。所得代替率は、現役世代の男性の平均的な賃金に対して、厚生年金を受給している夫婦2人のモデル世帯の年金受給額が何%あるかで示される。’14年財政検証では、平均賃金は月34万8,000円で、モデル世帯の年金額は21万8,000円とされたので、所得代替率は62.7%。