参院選後まで非公表「2019年財政検証」に記載される最悪未来
が下がっていくことになる。
こうして、マクロ経済スライドによって、年金の価値は徐々に減る。それでも、所得代替率を50%よりは下げないことが、法令で定められている。この50%に至るのがいつごろになるか試算するのが「財政検証」の肝になる。
5年前の財政検証では、経済がもっと順調に推移していく「ケースA」から、もっとも悪化していく「ケースH」まで、8段階のシミュレーションが行われた。
「ところが、いちばん楽観的なケースAであっても、11年後の2030年には、所得代替率が57.2%と6割を割り込み、25年後の2044年には所得代替率が50.9%まで下がると、試算されているのです」(北村さん)
経済評論家の加谷珪一さんは、現状に即しているのは、もっとも悲観的なケースHだと考えている。
「政府が目標としてきた経済成長率の数値は未達成のままですし、世界経済も、不況の兆しが見えているためです。ケースHでは、所得代替率がわずか11年後の2030年に53.8%にまで落ち込み、今50歳前後の人たちが年金の受給を始める、17年後の2036年には50%に達すると試算されています」
所得代替率50%は、前回の財政検証で基準となった62.7%から2割減。