くらし情報『阿川佐和子とヤマザキマリが語る 認知症母にやさしくなれるまで』

阿川佐和子とヤマザキマリが語る 認知症母にやさしくなれるまで

お互い、会話はまったく成立していないんですけど、ワイワイ楽しそうでした」

小説家、エッセイストの阿川佐和子さんの母親は、昭和2年生まれで、現在は91歳。父は作家の阿川弘之さん(’15年没、享年94)。外では温厚だが、家庭内では絶対君主で、専業主婦だった母親は振り回されていたという。

漫画家のヤマザキマリさんの母親は、昭和8年生まれの86歳。北海道に渡り、札幌交響楽団のビオラ奏者として、2人の娘を女手一つで育て上げた。

親の介護が始まったのは、阿川さんが57歳、ヤマザキさんが49歳のときだった――。

マリ「佐和子さんは、どうやって親の認知症がわかったんですか?」

阿川「8~9年くらい前かな。あるとき、長年、実家で働いてくれた家政婦さんが電話で『こんなこと、私から申し上げるのも何ですが、奥さまがヘンです』って。
もともとトボけてるからなあって言ったら『そういう問題じゃありません』って、ピシッと言われたんですね。それで“ついに来たか”と」

マリ「母は、80歳を過ぎたあたりから、物忘れが目立ってきたんです。でも、犬の散歩も欠かさず、毎日、元気そうでした」

阿川「うちも日常の家事には支障がなかったけど、同じことを繰り返し話したりして“ん?”っていうことが少しずつ……」

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