50代の恋愛描いた『平場の月』朝倉かすみさんの恋愛観にも変化?
「最初はなんでもないようなことでも、かかわりをもって、気持ちが動いたら、自動的に始まってしまう。もうそれは年齢に関係なく。場所や相手によっては、軽率だ、不倫だとたたかれてしまうこともあるけれど、『それって恋だよね。始まってしまったものはしょうがないよね』とは思いますよ」
たびたび居酒屋で開かれていた「互助会」がいつしか須藤のアパートに移り、ふたりは過去をぽつぽつと語り合いながら徐々に距離を縮めていく。そんななか、須藤が大腸がんの告知を受ける。術後、抗がん剤治療を受ける間、青砥は一緒に暮らそうと提案した。
50代のふたりの恋愛描写については、どこからくるものなのだろう。会話やラインのやりとりが、現実に、すぐそこで行われていそうな生々しさをもつ。
「そこは取材できないところなので。このふたりはそれぞれどういう人か、という想像がまずあって、どうやって近づいていくのかが大切なんだけれど、調べるのではなく、書いてみてわかる部分です。ただ、ふたりがどうやって出会うかは考えました。この年だと、素性がわかる人でないと始まっていかないですよね。だから、仕事関係の人とか近所の人、あとは学生時代の人との再会が自然だろうなって。