2019年10月28日 11:00
新朝ドラヒロイン“モデル”女性、長男の白血病で決めた覚悟
診断の結果、白血病は急性に転化。残された時間はさらに少なくなっていた。
「完全に適合したわけやないけど、私の妹が移植を名乗り出てくれて。これに懸けてみようと思った」
10月に行われた移植手術は無事成功。賢一さんは少しずつ元気を取り戻していった。病院には賢一さんと同じ白血病の子どもたちの姿もあった。病室のベッドから無邪気に手を振る3歳や4歳の子どもたち。
「賢一くん、自分のことでは泣かへんのに、その子らを見て、泣いたんや。
『自分は30年も生きてこれた。でもあんな幼い子が死ぬなんてあんまりや。治ってほしい、生きてほしい』って」
その年の12月、待望の知らせが届く。日本初の公的骨髄バンク「骨髄移植推進財団」が設立されたのだ。ビッグニュースに賢一さんもうれしそうで、顔色も心なしかよくなったように見えた。このぶんなら春には退院も、そんな期待を抱かせもした。しかし……。年が明けて’92年。
間もなく31歳の誕生日という2月初旬に、賢一さんの白血病が再発。
「泣きませんでしたよ。泣けるいうんは余裕があるってことや。私、そこで、パチンとスイッチ入れた。決めた。死を前にして、賢一くんは今、生きてる人間として、パシッとせなって。