2019年11月4日 11:00
ANA客室乗務員で45年 通算飛行時間3万750時間29分での出会い
大宅さんは熱い日本茶を1杯いれて、トレーに載せ、それから改めて怒り心頭の乗客のもとへ。
「お茶を入れる時間をあえてとる、その少しのゆとりが大事。私自身も落ち着いて対応できましたし、お客さまもお茶をお召し上がりになって、少し落ち着かれたようでした。冷静にこちらの言葉を聞いてくださり、最後は和やかな雑談まで交わした記憶があります」
同僚への気配りも忘れない。すっかり落ち込んでいるパーサーにもう一度、言葉をかけた。
「あんなに怒っているお客さまへの対応、あなたも大変でしたね。でも、もう大丈夫。お客さまのご機嫌も直りましたよ」
記者が改めて大宅さんに、クレーム対応の極意を聞くと、にこりとほほ笑み、こう教えてくれた。
「私はよく、同僚のCAには『大丈夫、命までは取られませんよ』と話してきました」
一方で、長いCA生活の中では素敵な出会いもたくさんあったという。それは十数年前のクリスマスイブだった。「成田発シカゴ行きの便のファーストクラスに、小学5年生のお嬢さんとそのご両親が搭乗されました。私はお嬢さんに、お酒こそすすめませんが、それ以外はすべて大人と同じ接客をしました」
大宅さんは長い経験から、「3歳以上の子どもは自分がどう扱われているかわかる」