2019年11月29日 15:50
「声出なくても意思は伝わる」ALSの夫と妻が続ける限界なき挑戦
「おなか・が・おもい」
将胤さんとまったく同じ声質が、スマホのスピーカーから流れた。ふたりで一緒に笑い転げる。ちょっと食事の量が多かったよう。
「これが、彼が共同開発したソフト『コエステーション』です。発語できなくなる恐れのある人がサンプルをあらかじめ取っておけば、本人の声がいつでも再生できるシステムなんです」
東芝デジタルソリューションズが開発した「コエステーション」。あらかじめ10通りほどの例文を読みインプットすることで、アプリが音声合成。文字を入力すると本人の声で話してくれる。
木綿子さんが説明すると、将胤さんは続けてその意義を力説する。
「声が出なくても、意思を伝える手段は探せばいくつもある。その手段を前向きに考えて、決してあきらめてはいけない。有効活用できるテクノロジーを見つけて、多くの患者さんに使ってもらえる環境を作ることが僕の使命です」
できることが少なくなっていくのがALSの特徴だが「その現状を打破したい!」という希望が、夫婦ふたりの結束を強固にする。
「将胤さんと結婚して、『限界を作らない生き方』を教えられました。ALSは確かに残酷な病気ですが、夫婦の絆はより強くなりました。