2020年2月24日 11:00
突然失禁、母が認知症に 松島トモ子語る「老老介護は恩返し」
(撮影:金田浩樹)
「母の認知症の症状は、突然出たんです。だから最初の1年は、私自身、どう過ごしていたか、よく覚えていない。記憶が飛んでいるっていうかね、それほど混乱していましたね」
女優・松島トモ子さん(74)は母・志奈枝さん(99)が突然、認知症を発症した日から始まった介護の日々を一気に振り返る。
「母の親しいお友達を招いて、都内の中華料理店で95歳の誕生会を開いていました。でも、母の様子が明らかにおかしい。いつもは、好奇心旺盛な母が、人の話を聞こうともせずガツガツと料理を食べ続けていたんです。私は、母に合図を送るつもりでテーブルの下から母のヒザに手をやりました。そしたら、母が失禁していた。
もうあのときは、頭が真っ白になってしまって」
帰宅してからが地獄でした。ふだんから私とも敬語で話していた母が、罵詈雑言の嵐。『年寄りを虐待してアンタは楽しいのか!なんて言っては、周りのものを手当たり次第投げつけてくる。いつも綺麗でレディだった母が、180度変わってしまった。
「真夜中になると、『トモ子に殺される!』と大声で叫びながら外に飛び出すんです。母は短距離の選手でしたから、徘徊というより、まるで“遁走”。