コロナ疲れの今だからこそ知っておきたい“正義中毒”の根源
気の合わない人とは付き合う必要がありませんから。すると“同じ意見だけの繭”のような集団ができますよね。その繭の中では逸脱した人を発見しやすく、さらに匿名性という特徴も加わって、激しい攻撃へとつながっていくのです」
そして、もうひとつ。災害時に生まれる“みんなのための正義”が、思わぬ落とし穴になっている。
「危機を乗り越えるため、『みんなのために何かできないヤツは悪!』という発想ですね。個人の勝手は許されない。もちろん“一丸となって”という姿勢は美しいけれど、そこからこぼれ落ちる人を考慮できない社会です。こぼれ落ちた“異物”が自分たちの集団を台無しにする前に、“正義”であるわれらが先手必勝で攻撃しなければ、となるのです」
やっかいなことに、一度“正義の制裁”を加えると、脳の快楽中枢が刺激され、快楽物質であるドーパミンが放出されるという。
中野さんはこれを“モグラたたきゲーム”のようだと指摘する。
「悪いヤツをやっつける快感を覚えると、またそれを味わいたくなって、次なるモグラをつねに探すわけです。そして、モグラが現れると反射的に攻撃する。この攻撃はもはや、エンタメ化しています」
そんな、許せない人が増える社会では、一方で「意見は言わないでおこう」