コロナ疲れの今だからこそ知っておきたい“正義中毒”の根源
という人も増えていく。
「これを『コーシャスシフト』といって、意見の違いを『危険だ』と察すると、人は無難なことしか言わなくなります。やがて、新しい意見は出なくなり、膠着状態に。また、今メディアで起こっているのは『リスキーシフト』といって、これとは真逆な現象です。煽れば煽るほど注目されるので、どんどん意見が過激になっていく。この両極端の状態はセットで起こるので、攻撃的な空気はいっそう加速していくのです」
中野さんは、かつて留学していたフランスで、考え方の多様性の大切さを学んだという。
「議論が好きな彼らは、自分と意見が違っても、その相手を否定しきることはありません。人格否定はダサいと考えているのです。
『私はこう思う』『一理あるけど、ちょっと違うわ』と、10人いれば10の異なる意見を認め、そこから新しいものが生まれてくるのです。日本には“満場一致”をよしとし、そのために根回しをしてきた文化的背景があるかもしれません。でも、そういう時代は終わりを告げているように思います。誰かを攻撃しても、いっさいの生産性はありません。さらに、非常事態が続く世の中では、“絆”を声高に叫ぶよりも、1つより2つ、2つより3つの意見が、アイデアとなって誰かの助けになるはずです」