「モンペと思われても」発達障害の息子を東大に入れた母の闘い
「以前の私なら、また悲観することしかできなかったかも。でも、このときはその頭の固い先生の態度に、どうにも反発心が芽生えてきて。『負けてたまるか』って(笑)」
全校集会など大勢の人が集まる場所が大夢くんは苦手。じっと座っているのが苦痛なのだという。
「だから、学校に行って先生に『全校生が集うイベントの日は休ませます』って宣言したんです」
教諭は「親が諦めてどうするんですか?」とあきれ顔だ。しかし、母はひるまず、こう続けたという。
「あの子にとって大勢の人のなかで椅子に座っているのは、先生のような普通の人が椅子の上で逆立ちするのと同じぐらい大変なんです。先生、校長先生のあいさつが終わるまで、椅子の上で逆立ちを続けること、できますか?」
菊地さんは「モンスターペアレントと思われてたかも」と笑う。
それでも、この決してあとには引かない母の姿勢が、頑なな教諭の気持ちをも動かしていった。
「先生も、本当に少しずつですが大夢の特性に理解を示し、配慮してくれるようになったんです」
■何事も予行演習が大事
「大夢をよくよく観察して気がついたのが、あの子が失敗するきっかけの1つが『初めて』ということ。