小柳ルミ子 引退考えたコロナ禍「もう私の居場所はない」
「3〜4日間ずっと泣きっぱなしでした。私のコンサートに前座として出てもらってから50年、たくさん相談にも乗ってくれたけんちゃんが、隔離され、意識を失ったまま亡くなってしまった……。悔しかったろうなって」
そう言うと下を向き、目頭を拭いながら、こう続けた。
「けんちゃんはきっと最高の医療態勢で診てもらったはず。それなのに……。コロナが憎いと思うと同時に、本当に恐ろしいウイルスなんだと打ちのめされました」
ショックを引きずったまま迎えた4月25日。デビュー50周年のこの日に予定されていた記念イベントも中止になったことが、小柳さんの傷心に追い打ちをかける。
「歌、踊り、芝居と、幼少から培ってきた芸事が、すべてゼロになってしまったようで……。
コロナ禍の芸能界でも、必要とされている人は仕事をしている。だから、つらかった。『私には存在価値はない』と感じて」
そう語る小柳さんの目からは、こらえきれず大粒の涙が。
このころはよく、天国の両親や愛犬と“会話”していたという。
「私に歌手の夢を託した母に、『私、やめようと思うんだけど、どう?』と。すると、『いいよ、ルミ子の好きなようにしなさい。