特殊メーク第一人者・江川悦子「おくりびと」の遺体も“作った”
彼女は、特殊メークの分野を日本に初めて定着させたパイオニアだ。アメリカでは、ハリウッドの大ヒット映画『ゴーストバスターズ』(84年)や、あのジョージ・ルーカス総指揮の『キャプテンEO』(86年)でも腕をふるった。帰国後も、アカデミー賞外国語映画賞に輝いた『おくりびと』(08年)はじめ多くの名作映画やドラマ、CM、舞台などに参加。
現在も、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』で、特殊メークを担当している。
「大河は、01年の『北条時宗』から『麒麟がくる』までの約20年間、ほとんどの作品に参加してきました。今回も、武将の坊主頭などの特殊メークを担当しています」
1本のホラー映画との偶然の出合いから、特殊メークの世界に飛び込んでまもなく40年。
「昔は特殊メーク自体、認知されていなくて、現場に加わってもNHKでクレジットで名前が出ることはありませんでした。ようやく最近ですね、認められたのは」
長い間、縁の下の力持ち的存在だったが、今では専門学校もあるほど当たり前の存在となった特殊メーク。
通称“江川学校”から巣立って世界で活躍する人材も輩出している。そんな江川さんだが、33年前、初めての日本映画界からの依頼は「生首」