シャンシャンは「奇跡の子」自然交配の難関乗り越えたアイドル
それからメスの発情期が非常に短いんですね。1年のうちの2週間くらいですが、交尾してちゃんと受精がうまくいく発情のピークは、1~3日しかないんです」
自然界では、メスの発情の匂いでオスが何頭も集まってきて、そのなかからメスに選ばれた相性のいいオスが交尾する。ところが、飼育下のパンダは1頭ずつ別々に飼われているため、発情のタイミングをみて、人間が会わせなければならないのだ。
「パンダは単独行動の動物で、それぞれ自分のテリトリーがあるので、発情していない時期に会わせるとけんかしちゃうんですよ。だから、長くて3日しかないメスのピーク時を見極め、2頭を会わせなくちゃならない。これが難しい」
発情期になると、2頭で交互に鳴き交わしをする。
「メーッて、甘えたような声で、交互に鳴き交わします。それに合わせて、扉を開閉させて2頭を徐々に近づけていきます。
飼育員がメスのお尻を棒でつついて、尻尾を上げる行動が見られたら、それが交尾のタイミングです」
交尾ができても、妊娠しているかどうか、パンダの場合は非常にわかりにくいという。「“着床遅延”といって、受精卵ができても、浮遊していてすぐに着床しないんです。