髪型、仕草、恋愛…80年代の松田聖子が変えた女子の価値観
最近の田中みな実さんに代表される“あざとかわいい”の源流ともいえる、聖子さんの“ぶりっ子”スタイルは、お人形さんのようにかわいらしく、“ああいうコのことを、男子は好きになるんだろうな”と、当時の女子たちに強く印象づけました」
そのため、皆がこぞってヘアスタイルをマネしたわけだが、当然のことながら、誰もが聖子ちゃんになれるわけではない。
「クラスの男子の前で、聖子さんのような仕草やしゃべり方をするのは、やっぱり恥ずかしくて、なかなかできるものではありません。でも、なかには上手にマネするコもいて、それがモテたりするものだから、『あの子ズルいね、ぶりっ子しちゃってさ』なんていう、嫉妬が交じったフレーズも、教室ではよく聞かれました」
こうしたアンチも存在したことで、“ぶりっ子”はますます輝きを増していったといえる。少女の恋愛への憧れを強く表現したことも、同曲の人気の秘密だ。
「当時、バレンタイン・デーが盛り上がったのは、ふだんは女子から男子に“あなたが好き”と。なかなか言えない時代だったから。『青い珊瑚礁』で描かれているような、男性にリードされながら大人になっていく女のコのときめき、“好きって言っていいのかな……言っちゃうぞ!”みたいな、恋愛へ1歩踏みだす少女の思いが、多くの共感を得たのでしょう。