渡辺真理が語る「スタジオジブリ」鈴木敏夫氏の強烈な個性
まずは鈴木氏の強烈な個性に引きつけられた。
「もともと鈴木さんは週刊誌『アサヒ芸能』(徳間書店)の記者です。『モーニングEye』というワイドショー出身の私にとっては“同業者”という親近感を覚えました」
TBS時代にも、圧倒されるような先輩はいたが、胆力、行動力において、鈴木氏は別格だった。
「後に『ナウシカ』が連載されることになる雑誌『アニメージュ』(徳間書店)の創刊号で記事にしたいと取材依頼をしたことが、高畑勲さん、宮崎駿さんと、鈴木さんの出会いとうかがいました。最初は電話口で高畑さんに、1時間延々と“取材を受けたくない理由”を述べられ、代わって出た宮崎さんからは『僕は取材を受けるけど、ページを倍にしてほしい』といわれた、と。そこからが鈴木さんの真骨頂。毎日、まさに毎日スタジオに通って、徐々に2人と心を通じ合わせた経緯は圧巻です」
アニメーションは製作にコストがかかるが、スタジオジブリでは予算よりも高畑氏や宮崎氏の思いが優先される。
「その思いを実現させるため、鈴木さんは、融資を頼む銀行にデスクを持ち込んだうえで通ったという逸話もあります。
私も大好きな『もののけ姫』(’97年公開)