誰もが恋愛の失敗恐れなかった…『ねるとん』ヒットを分析
高学歴、高収入、高身長の“3高”が求められた時代でありながら、そこまでの学歴もなく、かっこいい車も持っていない男性が果敢に女性に挑む姿に、視聴者は声援を送りたくなったものだ。
「振られる様子を笑いにできたのもバブルならでは、でしょう。今から10年ほど前、当時20代の男性たちに『ビールって、飲んで何になるんですか?』と言われ、質問の意図がわからず、聞くと『その場は楽しくても、調子に乗って人に迷惑をかけたり、二次会、三次会に行って終電に乗れなかったり、二日酔いで苦しむことがあるじゃないですか』と言うんです。つまり、初めから失敗を恐れ、リスクのある行動を起こすまいと自制する若者が増えたのです」
対するバブル期は、終身雇用が約束されており、失敗しても再チャレンジできる環境にあった。
「『ボクは死にましぇん』の名ゼリフを生んだ、『101回目のプロポーズ』(’91年・フジテレビ系)が象徴的です。振られても諦めずに何度もアプローチする様子は、今ならストーカー扱いされますよね。でも当時は、失敗しても『自己責任』を問われにくく、『汗水流して頑張ればいい。結果は二の次』と笑い飛ばす感がありました」