2021年8月30日 11:00
ALSのニャンちゅう声優 声と引き換えの人工呼吸器は「しない」
還暦後にはライブ中心の活動をしようと、50歳くらいから準備も始めていたんです」
だが、還暦を目の前にした19年3月、突然、体に異変が出始めた。
「ナレーションのスタジオへ向かう途中、ゆるい坂道で走ってくる自動車をよけたら、つまずくだけでは済まず、ゴロンと一回転する勢いで転んでしまったんです。近くの人も駆け寄って『大丈夫ですか』と心配されるくらいでした」
特段、気に留めることもなかったが、その後も平坦な道でつまずくことを繰り返した。状況は改善せず、1~2カ月もすると、家から最寄り駅までの徒歩10分の距離を、1回休みを入れないと疲れて歩けなくなった。その休みが2回に増えたとき、近所のクリニックを受診。
「血液検査をすると、炎症を示す数値が異常に高くて、総合病院の整形外科を紹介されました。でも、骨に異常は見られませんでした。1カ月の経過観察中に、杖がないと歩けなくなるし、うんこ座りから立ち上がることもできなくなりました。
妻と“名なしの権兵衛病”と名付け、何かしら病気があることは覚悟していました」
整形外科から神経内科へ回され、今度は1カ月の検査入院。皮膚を切開し、麻酔なしで筋肉の一部を取り出す検査、体に針を刺して電気を流す検査などで、病名を探った。