2021年8月30日 11:00
ALSのニャンちゅう声優 声と引き換えの人工呼吸器は「しない」
ひととおりの検査が終わったころ「ご家族も同席してください」と言われ、夫婦で面談室に行った。
「机の上には、7~8枚にまとめられた報告書が置いてあって、1枚ずつ丁寧に説明をしてくれるんですね。それで最後のページをあけると『ALS、筋萎縮性側索硬化症の可能性が高い』とありました」
担当医からは「現状では治療法はありませんので、すぐに退院できます」と告げられた。
「悲観的にならざるをえない状況なんでしょうが、病名を聞いたときは、なぜかホッとしました。それまで“名なしの権兵衛病”で、何と向き合っているのかも知りませんでしたから。検査入院中から“もしかしたら”という思いもあったので、心構えはできていたのかもしれません」
普通なら、食事も喉を通らなくなりそうだが、
「1カ月ほど病院食だったので、退院した日はおいしいものをおなかいっぱい食べたくて、おすしとピザのデリバリーを頼みました」 ようやく患者のスタートラインに立ったことが、津久井さんの心を奮い立たせたのかもしれない。
■声か、命か。問うと、まっすぐな言葉が返ってきた
これからも、さまざまな機能を失い、いずれは呼吸すら危ぶまれ、気管切開して人工呼吸器をつけるかどうかの選択を、迫られることになるだろう。