盟友・寂聴さんに寄せ…作家・澤地久枝「死ぬ準備ができてない」
昨今も健筆をふるっていた。
そんな澤地さんが、昨年5月、ひとり暮らしの自宅で転倒して、腰椎を骨折。そのまま寝たきりとなり、「要介護4」の認定を受けていたのだという。歩行はもちろん困難で、ときに家政婦やヘルパーさんに助けてもらい、おむつもつけた。
それなのに、いま澤地さんは寝室と仕事場を結ぶ階段をその足で上り下りする毎日だ。リハビリだと言い聞かせ、少しずつ自分で動き、結果的に澤地さんの要介護度4の寝たきり状態は、わずか3週間足らずの超短期だったことになる。
「特段、肩に力が入っていたわけではないんです。だっていつ人生の終わりが来ても、おかしくない時期を生きているということは、わかっていますから。
でも振り返って言えるとすれば、おむつをしていた10日のあいだに『もうダメだな』と思っていたら、ダメだったでしょうね……」
■故・寂聴さんは60年以上前からの“盟友”
11月9日、突然の報が日本中を駆け巡った。
《瀬戸内寂聴さん逝去、享年99》
澤地さんはその悲報を、新聞社からの電話で知らされた。
「その日は落ち着く暇もなく電話が鳴り続けるものだから、留守番電話にして、もう出ませんでした」