2022年2月6日 06:00
「お客さん笑わすための落語を」女にはできないの声跳ねのけ大賞
『ネタ、何本持ってるの?』とまで。『そんなんいま、関係ないやろ!』いう言葉が喉元まで出かかりました(苦笑)。もう悔しいし、情けないしで……」
でも、その苦い経験が初心に立ち戻る契機にもなった。
「一昨年は自分に期待しすぎたのと、大賞目前と思ったら賞金の50万円に目がくらんでしまって。でも、目が覚めたというか『私はなんのために落語やってんねん?お客さんを笑かすためや』と」
雪辱を果たすべく昨年、彼女が選んだネタは、やっぱり古典の『天狗さし』。主人公は、天狗を捕まえてひともうけ企む愛すべきアホ・喜六。それを、二葉さんが熱演し観客は大ウケだった。
「そのときの会場は大阪。
いつも応援してくれはるお客さんがぎょうさんいてて。ほんま、押し上げてくれはったなと思います」
結果は先述のとおりの快挙。その大手柄を師匠も手放しに喜んだ。
「二葉は誰よりも根性がありました。NHKの賞も何年も前から『絶対とります』と宣言して、有言実行しよったわけで。それはもう、素直に褒めてやりたいですね」
当の本人は前年から手のひらを返したような高い評価に「え、本当にいいんですか、と思いました」と舌を出す。
「でも、女性には無理と思われてた古典で、受賞できたことは、素直にうれしかった。自分で言うのもなんですけど、歴史、変わったんちゃうかな(笑)」
『光る君へ』いとに“いい人”が現れて… 惟規役・高杉真宙が心境【君かたり】