くらし情報『夫・椎名誠も舌を巻く“冒険家”で作家の渡辺一枝さん「チベットの鳥葬に父の最期を重ねて」』

2022年3月11日 11:00

夫・椎名誠も舌を巻く“冒険家”で作家の渡辺一枝さん「チベットの鳥葬に父の最期を重ねて」

「半年ほど闘病生活を送っていた母が亡くなったんです。幼いころは、父の出征を止めなかった母に反発心もあったけど、ようやく『ハルビンのこと、ゆっくり聞かせてね』と言える関係になっていたのに」

いつか母と一緒に歩きたい、と思っていた、故郷ハルビン。一枝さんは、母の死をキッカケにハルビンへ行くことを決意。そのためには時間が必要だった。

「すごく迷いました。でも、椎名が世界を旅する様子を見て、私も広い世界を見たいと思うようになっていたし、友人から『あなたがいなくても地球は回るよ』と言われて(笑)。それで保育士を辞める決心がついたんです」

一枝さんは、当時受け持っていた子どもたちが卒園するのを見届けて、18年務めた保育士の仕事に終止符を打つ。42歳の春だった。


■チベットの鳥葬に父の最期を重ねて

母が亡くなった翌年、生家を探すためハルビンを訪ねた。

生まれた場所に戻れば、父が見た風景や、母から聞くことのできなかった思いを知ることができるのではないかと思ったからだ。

「生家を探して歩いていると、ひとりの老女がアパートから出てきてね。『お茶を飲んで行きなさい』と招き入れてくれたんです。私は胸がいっぱいになって、『私たちの国は中国のみなさんに本当に申し訳ないことをしました』と詫びたら、『それはあなたのせいではない。

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