くらし情報『夫・椎名誠も舌を巻く“冒険家”で作家の渡辺一枝さん「チベットの鳥葬に父の最期を重ねて」』

2022年3月11日 11:00

夫・椎名誠も舌を巻く“冒険家”で作家の渡辺一枝さん「チベットの鳥葬に父の最期を重ねて」

日本の軍部がやったこと。ここは、あなたの故郷です。いつでも訪ねていらっしゃい』と言ってくれたんです」

この老女のひと言で、侵略地で生まれた自分の存在を肯定できるようになっていった。

「きっと父も母も、当時の日本にはない自由な空気を求めて満州に渡ったのだと思います。ふたりとも必死にあの時代と戦ったのだろうと」

このあと何度もハルビンを訪ねた一枝さんは、満州から戻ることができなかった残留婦人たちに面会を重ね、著書『ハルビン回帰行』(朝日新聞出版)に残している。彼女たちに、亡き母や自分自身を重ねたのだ。

憧れの地、チベットにも降り立った。初めて訪れた地であるにもかかわらず、地元の人たちとの会話が心地よく、飾らない自分でいられたのがうれしかったという。
以後、何十回とチベットにも通うことになる。

一枝さんの自宅には、地下に「チベット部屋」と彼女が呼ぶ部屋がある。一歩中に入ると、そこは文字どおり小さなチベット。

一枝さんが行くたびに買いそろえた調度品が並び、正面にはチベット式の祭壇。壁には、所せましと並べられたチベット関係の書と、これまで現地で撮影した写真がきちんと整理され並べられていた。

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