2022年5月8日 06:00
北条政子は“悪女”だったのか。妻、そして母としての苛烈な愛
世間的には、日野富子、淀殿と並び、日本の「三大悪女」とされる政子だが、女子美術大学付属高等学校・中学教諭で日本史研究家の野村育世さん(61)は語る。
「夫の愛人宅を破壊させ、長男は幽閉、実父は隠居させてしまうなど、江戸時代から今日まで悪女として知られる政子ですが、政治家として己れを貫いた姿は、ほとんど伝わっていません。政子は政子、という生きざまを色眼鏡なしに見てほしい」
ドラマはこれから中盤に差しかかり、長女・大姫の悲劇や頼朝の死などが描かれる。
「頼朝亡きあとに始まる御家人同士のサバイバルは、まさに北野武監督の映画『アウトレイジ』の世界で、“トーナメント戦”のように登場人物が死んでいきます」(松村さん)
そんな乱世のなか、4人のわが子を亡くすという悲運をも乗り越え、幕府を率いていく政子の真の姿は、これまでの悪女のイメージとはかけ離れたものだった。
■頼朝の愛人宅を焼き払った「うわなり打ち」は江戸初期まで長く行われた習慣だった
1157年、現在の静岡県伊豆の国市に、豪族・北条時政の娘として生まれた政子。実母を早くに亡くし、時政が再婚して迎えた新妻が牧の方。ドラマでは宮沢りえ(49)