くらし情報『男たちは妻や幼い我が子を手にかけ…沖縄を襲った集団自決の真実』

2022年5月15日 06:00

男たちは妻や幼い我が子を手にかけ…沖縄を襲った集団自決の真実

祖父母は私のこと、とってもかわいがってくれましたよ」

祖母はいつも、三角に折ったハンカチを首に巻いていた。首元の傷跡を覆い隠すためだった。

「祖母の首にはポッカリと穴が開いていて。そこにカニューレという、呼吸を助ける管が入っていました。声帯も傷ついて、祖母はほとんど声を出せません。首元を手で押さえ、絞り出すように口を動かして、かろうじて、かすかな声を発していました」

祖母ほど目立つものではないが、同じような傷が祖父、それに叔母の首元にもあった。

「子ども心に『あの傷はいったいなんだろう?』とずっと思っていました。でも同時に『聞いてはいけない』という自制心も働きました」

聞いてはいけない、と思うのには理由があった。
物心つくころ、宮城家の台所は、島の女性たちが集うサロンのような場所だった。

「母のもとに、おばさんたちが集まってきては、いろんな話をしていて。話題の1つが戦争のことでした。『誰それは、こんなふうにして玉砕した』『いや、あの人は夫に首を切られて死んだはずよ』と」

そんな大人たちの話を聞きかじって育ったから、祖母たちに首の傷のことは、聞けなかったのだ。同時に宮城さんは、詳細まではわからなくとも、多くの島の人たちが戦時中、自ら死を選んだということも、うすうす知っていた。

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