くらし情報『『ふたりの人を愛し…』歌人・永田和宏語る故・河野裕子さんとの青春』

2022年5月22日 06:00

『ふたりの人を愛し…』歌人・永田和宏語る故・河野裕子さんとの青春

歌人同士「競い合うライバル心があった」と永田さんは懐かしむ。

「夜中に炬燵を囲んでふたりで歌を作っていると、2階から子どもの泣き声がしてくる。どっちが面倒を見に行くかで、よくけんかになりました。醤油瓶が飛んだりして、壁にビャッと飛び散ってね」

ユニークで忙しない作歌と育児の日々も、裕子さんが愛情を注ぐ優先順位は一にも二にも夫だった。

《私は自分に自信がなくて、生きていくのがしんどくてしんどくてしようがないときに永田に会いました……そう。(永田に)すべての愛情をかけようと思いましたね》(『私の会った人びと』より)
こんな一首を残している。

《しつかりと飯を食はせて陽にあてしふとんにくるみて寝かす仕合せ》(『紅』より)

子育てを詠んだ一首として定評があるが、長男・淳さんは「ご飯を食べさせ、日干しした布団に寝かせたい相手とは、父のことだったと思います」として続ける。

「母は『子どもはしっかり食べさせれば放っておいても育つ。
私は、子どもより永田和宏を大事にしてやってきました』と公言していた。

《良妻であること何で悪かろか日向の赤まま扱きて歩む》(『紅』より)という一首には『良妻でいるのは素晴らしいことじゃないか』という母の主張が込められていたんです」

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