2022年10月30日 06:00
女の体は祝福されていると思った ストリッパーデビューの書店員語る舞台の魅力
劇場は、シアター上野でした。もちろんストリップは初めてでしたが、一人目から、噓のない生身の舞台に心奪われてた。シンプルに、美しいと思いました。それから3番目にステージに立った女性の踊りを見て、もう一瞬でポカーンとしてしまうんです。これまでになかった感覚でした」
ストリップを見終えて鰻を食べながら、新井さんは、率直な感想を桜木さんに述べていた。
「あの3番目の人は、特別だと思いました」
すると、桜木さん、
「あの人が、相田樹音さんだよ。私の小説『裸の華』のモデルにもなった」
相田さんは北海道出身のストリッパーとして、すでに多くのファンに愛される伝説的存在だった。新井さんは、つい数十分前の出来事を思い出していた。
「ストリップを見終わって劇場の外に出ると、その相田さんが部屋着とサンダル履きで出てきて、上野の往来で私たちに挨拶してくれたんです。その飾り気のなさと、先ほどまでのステージでのキラキラの印象のギャップが衝撃で、自分でも不可解な心情なんですが、また会いたいと思ったんです」
同時に新井さんは、自分がストリップそのものにも、すっかり魅了されていることに気づく。
「ずっと私は自分を見ても、女の体って、そんなに美しいものじゃないと思っていたんだけど、ストリップを見て、みなさんが、とても美しいと思った。