2022年12月21日 06:00
腸内環境のバランスを崩す薬12 下剤、胃腸薬、抗菌薬の多剤・長期服用に注意を
本来、腸には存在しない口腔内細菌が増殖し腸内環境のバランスが崩れます」
また、腸内で水分を吸収して便を軟らかくして排便を促す「浸透圧性下剤」にも腸内細菌への影響が懸念されている。比較的、副作用が少ない便秘薬だが、水分と一緒に腸内細菌を洗い流したり、ミネラルバランスを悪化させたりすることが影響を与えると考えられているのだ。
「そのほかに、糖尿病治療薬にも注意が必要です。なかでも、小腸の粘膜から糖の吸収を阻害するαグルコシダーゼ阻害剤は、食後血糖値を抑制する有効な薬ですが、糖はそのまま大腸に行ってしまいます。おもに大腸に生息している特定の細菌にとって、糖は大好物。糖を代謝分解する菌が増大し、全体のバランスを乱してしまいます」
細菌を死滅させたり、その増殖を抑えたりする抗菌薬は、病原性細菌だけでなく無関係の人にとって必要な腸内細菌を死滅させてしまう可能性が高い。
「とはいえ、抗菌薬は糖尿病治療薬や消化器疾患の薬よりも影響が弱かったのですが、それは使用期間が3日から1週間程度と短いことが要因かもしれません」
■多くの種類の薬を服用している人は注意
薬が人の健康に果たしている役割は大きい。