2022年12月30日 06:00
寂聴さん元秘書が語る 出家前の“はあちゃん”の素顔と孤独
本誌「青空説法」でもおなじみの天台寺にて、82歳の寂聴さん
故・瀬戸内寂聴さんを、秘書として公私ともに支え続けてきた長尾玲子さん。
寂聴さんのいとこの母とともに、中学時代から寂聴作品の資料集めなどをしてきた。自殺を心配されるほど悩んだ出家前、50代で発症したくも膜下出血、「青空説法」誕生秘話、お茶目さと対極にある孤独の影……。初めて語る、寂聴さんの知られざる素顔。
「’73年の夏ごろ、はあちゃんは、何かに追い詰められていました。編集者や友人らとにぎやかに談笑していたかと思えば、突然、中座して自室に籠もったり。
実は当時、近くのマンションで飛び降り自殺があったんです。中学生だった私は、勉強部屋の窓が、はあちゃんの仕事部屋のちょうど真下の位置にあったので、彼女が落ちてくるのが目に入ったらどうしようと、そんな不安を感じながら、日々を送っていました」
語るのは、’21年11月9日、99歳で亡くなった小説家で僧侶の瀬戸内寂聴さんの元秘書だった長尾玲子さん(66)。
長尾さんが寂聴さんを、親しみを込めて、本名「晴美」にちなんだ愛称である“はあちゃん”と呼ぶのは、彼女が寂聴さんの親戚でもあるからだ。