2023年3月5日 06:00
入居者も介護者もひとつの家族“理想的なついのすみか”「ぽらりす」
「ヘルパーさんたちに言われんだ、『社長はマグロと同じで、止まったら死んじゃうでしょ』って(笑)」
1年365日、食堂のベッドで寝起きする岡田さんだが、その睡眠は「いっつも仮眠だ」という。マニュアルに頼らない理由を問うと、岡田さんは「当たり前のことだから」と、また朗らかに笑った。
「うちも一応、マニュアルはあるんだよ。でも、私たちが相手するのは人間。マニュアルどおりにはいかないし、マニュアルで片付くなんて思ってたら、大間違い」
そして、こう続けた。
「一人の人間を最期まで看るって、大変なこと。相手も機嫌のいいときばかりもないわけだから。それでもね、私たちはずっと寄り添うの、それしかないの」
ちなみに「ぽらりす」という施設の名は、北極星のこと。
「北極星って、いっつも同じ場所にあって、ズレないんだって。だからね、行き場がなくて困ったときは、ここを目指してくださいって、そういう気持ちを込めたの」
実際に岡田さんは、行き場のない女性の面倒を見たこともあった。彼女の名は「タミちゃん」。
「私、10年ぐらい前にもタミちゃんの家に訪問介護で行ってたことあって。本当に根性悪いばあちゃんだった。