2023年3月5日 06:00
入居者も介護者もひとつの家族“理想的なついのすみか”「ぽらりす」
およそ20年後、4店舗目に営んだのは33坪もある大きなスナック。母は、いつしか街の名物ママになっていた。
「大変だったこと?いっぱいあるよ。閉店後まで居座ってた客になぎ倒されて犯されかけたこともあったし、首絞められたこともあった。だけど、逆にお客さんたちに救われたことだって、もちろんたくさんあったんだよ」
やがて子どもたちは、それぞれ専門学校を卒業し成人した。同じころ、水商売を続ける岡田さんの身を、いつも案じてくれた叔母が、52歳の若さで早世してしまう。
「がんだったんだけどね。がんが見つかって、あっという間に。
ものすごく、ショックだった」
悲嘆する岡田さん。その目に留まったのが、ある新聞広告だった。
「介護ヘルパー講習会の告知だったの。私はもともと保母さんになるのが夢だったし、ずっと、誰かの役に立つ仕事がしたかった。もちろん水商売だって、役には立ってるんでしょうけど。ちょうど子育ても終わったところで、これからはお年寄りのお世話をするのもいいな、って思ったんだよね」
すぐに応募した。ひときわ派手な受講生は数カ月後、ヘルパー2級の資格を取得。このとき、岡田さんは44歳だった。
その後、社会福祉協議会の有償ボランティア、さらに介護施設に勤務する形で数年間、ヘルパーの仕事を続けた。