
「海の香りのするピザだよ、熱いうちに食べてね!」と左から、ヤスエさん(73)トキさん(86)ミエコさん(77)キョウコさん(85)タカコさん(73)マツエさん(75)
「トッピング用のピーマンやベーコンは、これで足りるかな?」
「最近はミックスピザの注文も多いから、もっと刻んでおこうか」
「あいよー!」
九十九里浜の中央に位置する千葉県山武市の蓮沼地区。浜に向かって広がる畑の前に、「BaBaピザ」という小さな店がある。
働くのは73歳から86歳までの女性たち6人。平均年齢78歳の、その店名のとおり、おばあちゃんたちが運営するピザ店だ。
営業は金・土・日曜の3日間だけ。地元で取れたハマグリやイワシ、海の水で育てた蓮沼特産の海水ねぎなどの具材を使う地産地消もウリで、平均で日に50枚ほどのピザが売れるという人気店。
3月半ばの金曜日の朝8時過ぎ。厨房では、11時の開店を前に、仕込みの真っただ中。
おそろいのえんじ色のキャップにエプロン姿で、横一列に並び、けっして作業の手は休めず、マスク越しの会話が続く。
「こないだ、骨密度を測ってもらったら、60代だってさ」
「骨を丈夫に保つには、歩くことがいちばんだってよ」