子ども3人ママが末期がん告知で一念発起 余命2カ月を超えて走り続けるキッチンカー
ひっきりなしに客が来るキッチンカーで、ポテトを揚げるのも、焼き上がったクレープに、生クリームや果物を飾りつけるのも、調理全般を秋吉さんは1人でこなす。パワフルで、エネルギッシュ、忙しく動き回るその姿は、元気はつらつに見えるのだが……。
じつは8年前、秋吉さんは胃痛を訴え病院に。そこで胃がんと乳がんが発覚した。すでに末期のステージ4だった。以来、闘病を続けてきたが、昨年がんは大腸に転移。その際には主治医から「余命2カ月」とも告げられた。
そう、彼女がキッチンカーの営業を始めたのは、非情な余命宣告を受けた、その後のことなのだ。
「どうせ死ぬんやったら、やりたいことやろう、そう思ったんです」
秋吉さんはこう言うと、こともなげに満面の笑みをみせる。このバイタリティは、いったいどこから来るのか。あぜんとする記者をよそに、秋吉さんはまた、窓から子どもたちに声をかけた。
「はい、ポテト揚がったよ!」
やがて、キッチンカーの周囲には部活帰りの中学生たちが集まってきた。そこに自身の息子たちの姿を見つけ、秋吉さんは長男にこう声をかけた。
「龍青、発電機が止まっちゃったから。スタンドのおじさんにガソリンの配達、お願いしてきて」