子ども3人ママが末期がん告知で一念発起 余命2カ月を超えて走り続けるキッチンカー
「はーい」と応じた長男、少しのんびりとした調子で自転車に跨った。すかさず、母の叱責が飛んだ。
「早く行かんね!冷凍庫のアイスが溶けるやろ!」
慌てて走っていく長男の背中を見つめる秋吉さん。キッチンカーの周りでは、次男やその部活仲間たちが、ふざけ合いながら、クレープやポテトを頰張っている。そんな子どもたちの様子を、愛おしそうに眺めていた秋吉さんは、不意にこうつぶやくのだった。
「こういう光景が、私の理想だった。この景色を見たくて、キッチンカー、始めたようなものだから」
■60歳まで頑張れたら、悔いはいっぱい残ると思うけど、悪くない人生やったと、思えるかな
ユキチャンキッチン閉店後も、自宅で取材が続いた。するとそこに、会社勤めをしている夫・敬介さんが帰宅。
夫婦で並んでのインタビューに。
「妻は自分のことより、周りの人のために尽くす人間。それに、落ち込んだり、悲しんだりした姿を人には見せたがらない、弱音なんて漏らしたくない、そういう人です」
敬介さんは妻をこう評した。病気を境に、妻の変化した点を尋ねると「とくに変わったところはないと思う」とも。
「ただ、彼女の奥底に、覚悟みたいなものは生まれた気がします」