奥田瑛二語る心がラクになった孫育て“じいじ、幸せでいいんだよ”
でも、孫と生きていると、ある日『幸せだな~』ってポロッと出てしまったの(苦笑)。何か自分を縛っていた呪縛の縄が解かれて立ち消えて、すごく楽になったんです」
それは、夫婦関係の在り方にも変化を及ぼしたという。
「45年も夫婦をやっていると、ついつっけんどんになったり、口げんかになったりもあったけれど、それも減ってきたんです。孫で幸せを知って、なんだか優しくなっている。その理由をひもといてみたんです」
すると一つの発見があった。
「自分の心に、もっと『間』を持とうと思って。優しくなるための『間』とは何だ?それは、日本語の五十音の『ん』だと。それで何か聞かれたら、心の中で『ん、ん』と間をとるようにしたんです。
最初は、『ん』のたびにうなずいてました。こうして心に『ん』の間を入れると、心が柔らかくなり、まったく夫婦げんかにならなくなった。孫ができたおかげです」
そしてこの、心の「ん」は、『らんまん』の演技にも生かされた。
「カミさんのイチ役の鶴田真由さんから『あんた、何言ってんだい』と言われても、『ん』を心でのみ込んで芝居しているんだよ(笑)。江戸っ子で言葉は荒いけど、心の温かさは『ん』で表現してね」