80歳の現役女優・佐々木愛さんが孫娘へと引き継ぐ「舞台でしか味わえないモヤモヤ」
現在、劇団員は51人ですが、その大半がアルバイトをしながらの生活です。入団直後には自己主張ばかりだった青年が、たとえば私も制作で関わった『ハンナのかばん』に出演し、ホロコーストについて学んでいくなかで、いわば人として成長していく。それも、祖母や母たちから続く文化座の伝統だと思います」
今、『好日』の稽古に琴音さんたちは没頭している最中だが、この作品に愛さんは出演しない。明子さんが言う。
「いわば“脱・愛さん”で、若い世代が自分たちでお芝居を作り上げるという、劇団としても自立のための作品になると思います」
その愛さんは昨年、傘寿を目前にして三浦綾子の小説を舞台化した『母』に主演し、「佐々木愛主演の新作はこれが最後」と語っていたが。
「ただ私は、100%女優だけだった母とは違い、演劇に関わることが大好き。舞台に立つのはもちろん、やりたい企画もあるし、たとえ劇場のモギリでも芝居とはずっと関わっていきたい。
そうそう、来年2月に私も出演する火野葦平先生原作の『花と龍』の稽古もまもなく始まるのよ」
愛さんの芝居にかける思いと共に、文化座の舞台を通じて平和への願いもまた受け継がれていく。
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