「すごくいいと思う!」がんでわが子を失った母たちが出会い“理想のこどもホスピス”作りが始まった
「大きな目標である施設の建設には莫大な費用がかかります。個人や法人から寄付金が寄せられることも増え、2026年には寄付金控除が受けられる認定NPO法人になることを目指しています。
がんのお子さんや家族だけの場所ではなく、カフェなどを併設して、皆が気軽に利用できる施設にできたら。ホスピスの『怖いイメージ』を払拭したいのです」
■「かえろうか」とあの子が願った部屋で
千尋さんはいま夕青くんが「かえろうか」と言った鯖江の家の和室で暮らす。夕青くんは、この3月19日で7歳になるはずだった。昨春の小学校入学に合わせて千尋さんはふでばこと鉛筆を買い求め、窓辺に設置した祭壇に飾っている。
「鉛筆を1本削ってみたり。ランドセルも買ってみたかったなぁ」
千尋さんは毎晩、夕青くんに本の読み聞かせをしているという。
「今日はこんなことがあったよ、という報告と。1日1話ですから、読み聞かせの本も随分増えました」
通常の男児より言葉も早かった夕青くんだから、7歳であれば親子の会話も弾んでいたことだろうと千尋さんは想像する。
「私が食欲をなくしていると、『ママ食べて』と、口元にパンを持ってきてくれたり。