「すごくいいと思う!」がんでわが子を失った母たちが出会い“理想のこどもホスピス”作りが始まった
そう考えたとき、こどもホスピスが気になって。『私が受けたケアを日本でしてあげられたら』との思いが強くなっていました」
日本におけるこどもホスピスは現在、医療機関が運営している大阪の淀川キリスト教病院、個人や法人からの寄付で成り立つTSURUMIこどもホスピス(大阪市)、横浜こどもホスピス(横浜市)の3カ所にとどまる。
「最初はどこかで働けないかと模索し、調理師の免許を取得したりしたのですが、求人がなくて。ならばこの福井に立ち上げられたら、と考えるようになったんです」
そんな思いを抱えたまま2021年3月、福井市で「がんの子どもを守る会」総会が開かれると知り、出席してみることに。このとき山内こずえさんとの出会いがあった。
「『今日は石田さんと同じご経験をしたお母さんがもう一人参加しますよ』。主催者の方が教えてくださって楽しみにしていたんです」
山内さんにこう誘いかけた。
「もう少し話せませんか?」
「家で子供が待っているのであまり時間がなくて」
「車で送ります。
家はどちらですか?」
鯖江とは逆方向であったが、送っていく間、石田さんは「この福井にこどもホスピスを設立したい」と打ち明けた。