「すごくいいと思う!」がんでわが子を失った母たちが出会い“理想のこどもホスピス”作りが始まった
「ホスピス」という言葉に抵抗を持たれるのではないかと思って「決して最期を過ごすだけの場ではなく」と念を押した。山内さんはすべてをのみ込むようにうなずいた。
「すごくいいと思う!」
山内さんは11歳だった長男・蒼介くんを白血病で亡くし、下2人の子育てにいそしんでいた。
病院と家を往復しただけの闘病経験から、「病児と家族は生活に制限があり孤立しがち。勉強や遊びのサポートができる居場所を作って毎日を充実させてあげられたら」という思いを抱いていたという。
■「皆が気軽に利用できる施設を」
「何も持っていない私たちでしたがあれから2年、ミラクルなことが次々と起こっているんです」
そう笑う千尋さん。夕青くんの4歳の誕生日にあたる2021年3月19日にプロジェクトを発足。自身が体験したドイツのホスピスの「患者さんを家族ごと友人のように支える」ケアを理想に活動を始めたが、当初は「メンバーが集まるかが心配だった」という。
しかし、手始めにフェイスブックとインスタグラムを開始したところ、初日に1通のメールが舞い込んだ。
福井県における小児がんの拠点病院である福井大学医学部附属病院小児科の看護師・広瀬知美さんからの「以前からこどもホスピスの重要性を考えていました」