岡部たかし『虎に翼』寅子の父語る元妻への感謝「彼女の一言が僕に翼をくれた」
それでも正式に劇団員として認められ、うどん店・すし店の出前や居酒屋のバイトをしながら、芝居の道へ本格的に歩み出した。
そして東京に一緒に来てくれた彼女と結婚。’00年、28歳で息子が誕生。同年、劇団を退団した。
■「自分で道を切り開くのではなく、結局は他人任せの他力本願の人生」
だが、当時の岡部はバイトが楽しくなりその仲間と遊んでばかり。
「ホンマに東京に何しに来たん?」
と、母親になった妻からそう言われても、
「当時は『やってるよ!』と答えてはいたけれど、でもそれは“やってなかった”と今は思いますね。“何か”が見つかってへん感覚はありました。標準語もでけへんし、芝居も下手くそでした」
厳しい母の庇護の下から外れた反動で、優しい妻に甘えすぎていたのかもしれないと振り返る。
「おかんも奥さんも、僕のためになんでもしてくれて。自分で道を切り開くのではなく、結局は他人任せの他力本願。僕の人生、出会った人らに助けられてるんです」
元ワハハ本舗の岩谷健司さんや、俳優・演出家の村松利史さん、またCMディレクター山内ケンジさん主宰の「城山羊の会」(’04年結成)と、現在にも続く芝居の仲間たちと出会ったのもこの時期だ。