岡部たかし『虎に翼』寅子の父語る元妻への感謝「彼女の一言が僕に翼をくれた」
受話器の向こうから元妻は「大丈夫?」とまず彼を気遣ってこう続けた。
「離婚をして、養育費を払わなくなる人が多いのに、ずっと払ってくれてありがとう。感謝してる」
役者だけでは食えずバイトを掛け持ちしながらも、岡部は離婚時の約束を守り、毎月、養育費を払い続けていた。
元妻とは、久々の会話だった。
「そんなん言うなら、ちょっと甘えて『来月から安くしてくれとか言うぞ!』と冗談言えて(笑)。
それからまた、元奥さんにも会うようになったんです。だから、ふざけたような生活をしてても『誠意』は大事で、ちゃんとやらなあかんねんなって思いました」
当時、月収20万円を稼げればいいほうだったという彼に失礼ながら養育費の額を聞くと……。
「毎月7万~8万円払ってましたよ(苦笑)。
借金もしてましたし、みんなに助けてもらいました」
離婚した母子家庭で、養育費を受給している世帯は、28.1%しかない(「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」)。
“面白い”を追求してバイトで稼ぎながら、岡部が守った誠意とおとこ気を、元妻はしっかり感じ取っていたのだろう。
「それからは定期連絡をするし、和歌山に戻ったときに元奥さんに許されて、家にも入れるようになりました。