岡部たかし『虎に翼』寅子の父語る元妻への感謝「彼女の一言が僕に翼をくれた」
30代は尖ってたんです(苦笑)」
悩んでいた岡部は、城山羊の会で出会い名脇役として活躍していた女優の深浦加奈子さんの言葉に助けられることになる。
あるとき、岡部は深浦さんに「自分は普通で、おもろないんです」と嘆くと「そんなことで悩んでいるの?」と一笑され、こう答えてくれたという。
「『普通をちゃんとやりなさい。とがっているだけじゃ駄目だし、作ってやるもんでもない。あなたのままをちゃんとしたら面白い。普通をちゃんとできる人って、あまりいないんだから』と。作らんでいいということを言われましたね」
彼女の助言によって岡部の旧来の考え方に風穴が開き、ようやく壁を乗り越えられるように──。深浦さんは’03年に結腸がんを患っており、’08年天国へと旅立った。
■東日本大震災を機に元妻と会話。「ちゃんとやらなあかんねんな」
その3年後、2011年3月11日、東日本大震災が発生した。彼の人生も新たな局面を迎えることになる。
「気になって息子に電話したら元奥さんが電話に出たんです」
岡部は離婚後、息子とは時折会ってはいたが、元妻との交流は一切途絶えていた。
「だから、間違い電話をかけてしまったと思ったくらいです」