「大谷選手の行動は本当に正しい」“ギャンブル依存症一家”の地獄を田中紀子さんが告白
田中さんがすべて返済したことがあったのだ。
「ふだんはよき夫、よき父親なのに、なぜギャンブルがやめられないのか。二重人格じゃないか、と疑ったほどです」
田中さんは四六時中、夫を責め立てた。ある日、満員の通勤電車の中で、〈あんたは病気!死ななきゃ治らない病気よ!〉と、いつものように夫を責めた田中さん。
「すると夫は、〈そうだ俺は病気だ。自分じゃやめられない。助けてくれ!〉と、人目もはばからず、おいおい泣きだしたんです」
その様子に驚いた田中さんは、わらにもすがる思いで〈ギャンブル〉〈借金〉などとネット検索したところ、ギャンブル依存症の人が書いているブログがヒットした。
「夫と共に、そのブログで紹介されていた心療内科を訪ねたら、〈ご主人はギャンブル依存症です。
奥さん、あなたも特定の相手に過剰に依存する“共依存”という病気ですよ〉と診断されて……」
当時、田中さんの心の中には、借金をする夫は許せないのに、〈夫を助けられるのは私しかいない〉〈夫の借金を肩代わりすることで私の存在価値が認められる〉と、どこか喜ぶ気持ちがあったという。しかし、それが“共依存”だと気づくのは、後述する自助グループに入ってからのことだった。