専門家が警鐘を鳴らす「“再稼働”で危ない全国の原発」前編
そのため、沖合600メートルのところに取水塔を設置して、海底トンネルから原発構内の取水槽に海水を引き、原子炉を冷やしている。
「国の解析だと、あの取水塔は、21メートルの波高まで耐えられるそうですが、それを超える波が来る可能性は十分にあります。中部電力は、『5つある取水塔のうち、ひとつでも機能していれば、水を確保できる』として安全性を強調していますが、すべての取水塔がダメージを受けたらどうするのでしょうか」(青山さん)
浜岡原発に到来する津波の高さを、国は19メートルと試算されている。だが、前出の小野さんは、「最近、津波の高さは、地震の際、海底の活断層の動く角度が想定と少し違っただけでも大きく変わるとわかってきた」と指摘したうえで、こう続ける。
「私の地元、北海道の泊原発の場合、北海道電力は津波の高さを12.63メートルと試算していますが、国土交通省の試算は14.1メートル。北海道庁の試算では原発構内で7.6メートルですが、泊村の違う場所では最大で19.3メートル。場所によっては3倍近くの高さになるんです」
こうした試算の違いは、海底の活断層の動きを、どう評価するかで変わってくる。