貧困と暴力からNYと娘を守る!日本女性の現地警察の決意
「7つ年下でしたが、いい人に思えたんです。私はアメリカに行きたかったし、普通の家庭を持ちたかった。彼と結婚すれば、自分の夢がすべてかなうと思ったんですね」(京美さん)
2人はすぐに結婚。その年の秋にジョエルさんはアメリカ・テキサス州の基地に転勤になり、29歳になったばかりの京美さんもすぐ後を追った。地元教会の英語クラスに通いつめ、翌年には長女・イヴォンヌさんが誕生。子育てをしながら高校卒業資格を取得し、短大にも通い始めた。しかし、イヴォンヌさん誕生からほどなく、夫婦間のいさかいが絶えなくなった。夫に罵られるたび、京美さんの胸にある思いが去来した。
「小さいとき、母はいつも『おまえのために離婚しないんだ』と言っていました。そんなの罪悪感が募るだけで、うれしいわけがない。理不尽な暴力を黙って受け止める母のことは理解できなかったし、そんな母を当時は憎んですらいました」(京美さん)
このままではイヴォンヌが、自分と同じように母を憎むかもしれない。娘にかつての自分と同じ思いをさせることだけは、絶対にしない。彼女はひそかに離婚を決意する。