公開中映画が話題、坂本龍一指摘する「ナショナリズムの危険」
「’12年の春に、石原元都知事が尖閣諸島を購入すると言いだして、急速に日本人のナショナリズムに火がついた。あれから、国民の関心が、脱原発から国境問題に移っていったと思うんです。その年の12月に第2次安倍政権が誕生すると、さらに加速して、現在に至っています」
ナショナリズムが高まっていくと、戦争に突き進んでしまう恐れもある。
「このままいくと、憲法改正です。その後は、徴兵制になって、戦争に突っこんでいってーー。あなたたちのお子さんが、兵隊に取られて死ぬんですよ、と。それがわからない人は、そんなに多くないはずなのに、あまりにも巨大な歯車が回っていて、ひとりでは止められないとなると、その問題から目を背けてしまう。こういう弱さも、ある意味、人間の本性なんじゃないかと思うんです。
でも、本性だからどうしようもないとあきらめてしまったら、政治の暴走を認めてしまうことになるんですよ」
回り始めた巨大な歯車をどう止めたらいいのか。ナショナリズムの危険性については、他者を認めることが大事だという。
「僕だって、自分が生まれ育った国を愛していますよ。