累計15万部記念 もし坂本龍一が“もしそば”著者を取材したら
そこはわりに、素直にすごいと思いましたね。
坂本それは面白いな。というのも言語っていうのは非常に強固な制度だからさ、言ってみれば有限的な文字の組み合わせなわけじゃない?猿がタイプライターを打ち続けたらシェイクスピアが出来上がるっていう話もあるし。220人の文豪を模写してみて、1つも重複がないというのは興味深い発見だと思う。僕らの世代は「作者の死」から出発しているわけだしさ。
神田逆に言うと、独自の文体を作れた人が作家として生き残るんだと思います。
坂本僕の父親は出版社の編集者をやっていて。家にもいろんな作家が来るわけ。
小田実や高橋和巳が朝まで飲んでワーワー言っていたりするの。埴谷雄高なんかが電話してきてさ。彼らを見ていると確かに自分の語り方というのを持っていた気がする。
■ベストセラー後に生まれるもの
坂本もう聞かれ飽きたと思うけどさ、今後はどうしたいの?
菊池僕はもっと「書き方」というのを研究したいと思っています。今、日本語の書き方がとても画一的になってきているんじゃないか、というのを感じます。